引用元: 「◇ 心霊ちょっといい話 ver.11 ◇」より(実質12)
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81: 本当にあった怖い名無し 2007/07/22(日) 03:55:47 ID:O/+AmpWX0
そんないい話というのものではないですが・・・

昨年の春先、仕事上の事で体力的というより精神的にまいって
いた時がありました。
同じような日々の繰り返しなのですが、それがかえって徐々に
締め付けてくるように気持ちを蝕んできました。

そんなある日、9時ごろに仕事を終えた私は、気分転換にひとつ
となりの駅から帰ることにしました。
となりの駅といっても徒歩20分もかからず、散歩に丁度いい
といった所です。
しばらく味気のない通りを進み適当な所で曲がると、昔ながら
の住宅街という場所にでました。
モダンな家も多かったですが、重厚感のある木造の家も幾つか
ありました。
まさに、昭和だな・・
そんな事も思いつつ、なんとなく懐かしい気持ちになって進むと
左手に小さな祠を見つけました。
その祠は家の神棚くらいの大きさしかありませんでしたが、
近所の人が世話をされているのか綺麗に整えられていました。
私は祠の真横までくると、なんともなしに祠に正面を向き、
軽く会釈しました。

82: 本当にあった怖い名無し 2007/07/22(日) 03:56:36 ID:O/+AmpWX0
すると、祠の左からヌッと大きな猫が登場したのです。
猫好きの私ですが、さすがに少し驚きました。
お世辞にも可愛いとは言えませんでしたが、トラ模様の立派な
毛並みで、えらく落ち着いた貫禄を漂わしていました。
祠より大きな体じゃないか、どこに隠れていたんだろう、
それとも穴でもあるのかな。
私がそんな事を考え、猫をじっと見ると、猫は「ナー」と
言ってきました。
まるで「何か用か」というような口ぶりです。
私が黙って見ていると、また「ナー」と鳴きました。
別に何か要求するという感じではなく、俺はこの辺の主だが、
言いたことがあるなら聞いてやるぞといった雰囲気です。

別に急いで帰宅する理由もないので、私は祠の前でしゃがみ
猫と少し遊んで行くことにしました。
ただ、なんとなく撫でさせてはくれないような雰囲気だったので
お互い「にゃーにゃー」言うだけでした。

83: 本当にあった怖い名無し 2007/07/22(日) 03:57:40 ID:O/+AmpWX0
「ナー」
「ニャー(ただのとおりすがりです)」
「ナー」
「ニャー(ちょっとした気分転換ですね)」
「ナー」
「ニャー(少し疲れてます・・・)」
いい年して我ながら間抜けな姿ですが、落ち込んでた私には
妙に楽しく感じました。
でも、すぐに人が来てしまったので、危ない人と思われたく
なかった私はすぐに打ち切りました。

その時、すぐに視線を祠に戻したのですが不思議な事に
猫はいなくなっていました。
(あれ?)
なんとも不思議でしたが、そこは小さな祠だけが静かに
構えてあるだけでした。
まあいいかと思い、それでも少し気分が楽になった私は
駅に向かいましたが、隣の駅とはいえやはり帰宅ラッシュは
続いています。
でも、なぜか乗った駅から座れたのです。

84: 本当にあった怖い名無し 2007/07/22(日) 03:58:31 ID:O/+AmpWX0
珍しいこともあるもんだな、と思って普通に座っていたのですが、
2つくらい駅を過ぎたところで、となりに座っていたおじいさんが、
「大丈夫、あなたが頑張っているのはみんな知ってるよ。
もう少しだから」
と言って降りていきました。
(えっ!何!わ、私に言ったの?)
おじいさんは普通の人だったと思います。
さすがに少しは気味悪かったですが、嫌な事を言われた訳でも
無いので特に何するでもなく流しました。

2ヶ月後、本当にいろんな事が好転しだした私は、休日に
祠に挨拶に行きお礼を言いました。根拠はありませんが、そう
したくてたまらなかったのです。

猫はいませんでした。

85: 本当にあった怖い名無し 2007/07/22(日) 09:18:52 ID:hgE7u5CI0
猫精霊のブータだな。

86: 本当にあった怖い名無し 2007/07/22(日) 12:38:43 ID:Zmt/FRI50
「大丈夫、あなたが頑張っているのはみんな知ってるよ。もう少しだから」か、
よし覚えたぞ。
電車の中で疲れてそうな人を見つけたら言ってみよう。

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