引用元: 「∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part63∧∧」より
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1341559719/
6: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 2012/07/07(土) 19:47:20.55 ID:IHTDzvnP0
知り合いの話。

彼曰く、まだバスの放流が違法ではなかった時代の事らしいが、バスフィッシングに
ひどく熱を入れていたという。
友人に誘われたことが切っ掛けで嵌まってしまい、終には自分の持山にある溜池にも
バスを放流しようと企んだ。
休日になると余所からブラックバスを釣ってきて、せっせと自分の池に放す。
そんなことを何ヶ月も続けたという。


しかし何故かその池にはバスが居着かない。
いつまで経っても、確認できるのは小振りな鮒の類いだけ。
「妙だな、俺が放したバスすら居ないっていうのは」
そう訝しみはしたが、根気よく放流を続けていた。

そんなある日、遠征がすっかり遅くなり、帰宅した時には既に真っ暗になっていた。
いつものように溜池に向かい、バスを放流する。
しかし暗闇で目算が狂い、うっかり足を滑らせて、胸まで水に浸かってしまった。
慌てて陸に上がろうとしたが、水草に絡まるか何かして、浮かぶことが出来ない。
必死で藻掻いていると、誰かが力強い手で彼を掴み、地面の上に引き上げてくれた。

「あ、ありがとうございます」

息を整え、礼を述べてから顔を上げる。
そこに居たのは、全身が蒼黒い藻で覆われた、人型の何かだった。
目鼻口は確認できず、濡れそぼった端から水が垂れている。酷く生臭い。

7: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 2012/07/07(土) 19:50:49.71 ID:IHTDzvnP0
(続き)
何だこれ!?混乱している彼に向かい、それはこう言った。
「いや、こちらもいつも世話になっているのでな」
世話をした憶えなどない彼が戸惑っていると、嬉しそうに続ける。

「いつも魚をありがとう」

「お前さまが持ってきてくれる魚は大きくてよろしい」
その言葉を聞いた瞬間、理解した。してしまった。
この池にバスが居着かない理由を。

「・・・あ、でも残念ながら、魚を持ってくるのは今日が最後になるんです・・・」
必死で頭を働かせ、漸うそれだけを口にする。
「そうか、それは残念だな。本当に残念だ」
それは溜息を一つ吐くと、別れの挨拶を述べてから、池の中へ沈んでいった。

その姿が水に没するのを確認してから、へっぴり腰で逃げ出した。
彼はその後、すっぱりとバスフィッシングは止めてしまったそうだ。
件の溜池に通じる獣道には柵を設け、誰も近よれないようにしてあるという。

11: 本当にあった怖い名無し 2012/07/07(土) 20:47:51.21 ID:MJX9hh26P
俺が代わりにバスを差し上げたい気になる。

バス釣れたためしが無いけど。

12: 本当にあった怖い名無し 2012/07/07(土) 22:18:36.10 ID:OKj0qIpm0
バスは身質がスズキに似てるんで、池の人にとってはご馳走だったろうな。
俺もバスが居つかない池を知ったら持っていってあげたい。

15: 本当にあった怖い名無し 2012/07/07(土) 23:11:13.60 ID:MFXsdDaL0
>>7
ええ話やわ

19: 本当にあった怖い名無し 2012/07/08(日) 03:27:34.44 ID:DVolU65i0
バスはおいしいの?川魚だから下拵えしないとダメだよね
必ず火を通して・・

23: 本当にあった怖い名無し 2012/07/08(日) 09:44:24.44 ID:cHmK3isG0
>>19
皮をしっかり剥げば美味しいらしい。

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1: なごみたい名無しさん 2016/08/21 03:07
持って行ってあげれば良かったのに。