引用元: 「∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part74∧∧」より
http://maguro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1403468618/
199: 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 2014/07/02(水) 18:14:43.77 ID:Xrn5vfRy0
友人の話。

学生時代、盆に実家へ帰省した時のことだ。
そこは鄙びた山里で夏でも涼しく、避暑にはうってつけの場所らしい。
祖父母の世話になりながら、例年の如くノンビリと過ごしていたある日。

里の外れに人集りが出来ていた。
「どうしたんだろう?」と好奇心を引かれ、近くへ寄ってみたという。
事情を聞くと、里で一番の大木に、何物かが引っ掻いた痕が付いているとのこと。
指差す所を見ると、確かに大きく抉れた傷が、木の幹に刻まれている。
どの傷痕も、人の腰高くらいの位置に付いていた。

「熊でも出たんですか?」恐る恐るそう尋ねてみると、
「いや、これが爪の痕だとすると、熊よりずっと大きな何かだ」という返事。
驚いて他の里人たちの顔を見回したが、皆同じ意見のようだ。

彼の表情を見た近所の小父さんが、安心させるように肩を叩いて教えてくれた。
「心配するな、ここの里じゃ偶に現れる傷でな。
 爪の主はこれまで人に目撃されたことも、危害を加えたこともない。
 人を避ける性質みたいでな、正体は誰にもわからんのよ」

集まっていた人も恐れている様子はなく「随分と久し振りに出たな」という感じで、
傷痕を前に四方山話に耽っていたのだそうだ。

200: 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 2014/07/02(水) 18:15:19.56 ID:Xrn5vfRy0
(続き)
その内に一人がこんなことを宣いだした。
「前に学校に来ていた、偉い先生がこう言っとったぞ。
 これは『わいら』っていう動物が付けた傷だろうって」

一同感心した風になり、
「流石に街で勉強した人は違うな、よく知っとるわ」
「わいらか、さぞかし大きな爪を持っとるんだろうなぁ」
そんなことを口々に述べていた。

……その先生って、水木しげるの妖怪本に詳しい人だったんじゃないかなぁ……
友人はそんなことを考えたが、口に出して言うこともなく、「凄いですねぇ」と
一緒になって騒いでいた。

その後も里帰りはしているが、あの傷痕はあれから出ていないという。
わいらを目にした者もいないのだそうだ。

225: 本当にあった怖い名無し 2014/07/03(木) 07:41:02.20 ID:fNp5kNHH0
>>199, 200

乙です。
「腰高くらいの位置」って、どれ位の高さなんですかね?
熊は立ち上がって爪痕つけるイメージだから、結構高いトコ
に爪痕つくイメージだけど。

232: 本当にあった怖い名無し 2014/07/03(木) 12:20:44.37 ID:w6kgZ6iFO
>>200
学校に来ていたわいらと名付けた先生はきっと妖怪ハンターなんだと思う

258: 本当にあった怖い名無し 2014/07/04(金) 10:51:24.41 ID:VviEgrgZ0
>>232
稗田先生? 宗像教授?

爪痕で、宗像教授の犬神憑きと呼ばれてる家族が
太古の巨大狼に転身する一族の末裔だ、っていう話、
あれ思い出したわ。
いろいろ突っ込みどころもある設定だったけど、
結果ハッピーエンドでちょっと好きな話。

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