引用元: 「∧∧山にまつわる怖い・不思議な話Part75∧∧」より
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/occult/1410191336/
702: 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 2014/11/08(土) 20:51:26.99 ID:yJ0I1P2A0
知り合いの話。

とある鄙びた峠道を歩いていると、いつの間にか犬が一頭、後をついてくる。
痩せた白い体毛の犬で、首には大きな風呂敷包みを提げている。
彼の方を見上げてクンクンと鼻を鳴らすので、魚肉ソーセージを分けてやった。
犬は喜んでむしゃぶりついて食べ始めたが、その際にどこか緩んだものか、
首から風呂敷が外れて落ちた。

軽い金属音が響き、風呂敷から小さい物が零れて出てくる。
古銭だったという。結構な量が入っていたそうだ。
犬が困ったような顔をしたように見えたので、古銭を丁寧に拾い集め、
風呂敷に包み直してから、首にしっかり結わえてやったという。

犬は彼の手に頭を擦りつけると、早足で道を駆けていったそうだ。

その少し後、休憩中に行き会った登山者に、この犬の話をしてみた。
「変わった首輪をした犬を見かけましたよ」と。

登山者はどこか哀しそうな顔をすると、次のようなことを教えてくれた。
「それって、おかげ犬っていうんですよ。
 昔、お伊勢参りに行きたくても行けなかった人が、自分の替わりとして飼い犬に
 餌代とお賽銭を持たせて、伊勢神宮まで送り出したってことらしいです。
 割りとあったことだそうで、無事に伊勢の御札と奉納受領書を持って帰ってきた
 という話はあちらこちらに残っているんだとか」

703: 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 2014/11/08(土) 20:52:39.95 ID:yJ0I1P2A0
(続き)
「ただね、この山道を彷徨いている犬って、随分と昔から目撃されてるんですよ。
 かく言う僕も子供の頃に見た憶えがあります。
 やっぱり白くて薄汚れて、腹をすかせていて、古銭の入った風呂敷を巻いてました。
 地元じゃ、お伊勢さんに辿り着けずに迷ってしまったんだろうな、と言われてます」

それを聞いた彼が微妙な顔になったのに気が付いたのか、登山者は慌ててこう続けた。
「いや、本当に同じ犬なのかどうかもわかりませんし。
 幽霊じゃなくて生きてるみたいだし。
 田舎の与太話ってことで、あまり気にされないで下さい」

それ以来彼は、その道を通る度に、風呂敷を巻いた白犬の姿を探してしまうそうだ。
しかし再度の出会いはしていないという。

704: 本当にあった怖い名無し 2014/11/08(土) 21:05:28.99 ID:N3RipOr90
雷鳥さん、乙です。
おかげ犬、山道での姿を想像するとほっこりしますが、辿り着けなかったのは切ないですね。
ご主人様のため、今も伊勢へ向かって歩いているのだと思うと、胸が締め付けられる思いです。今度伊勢へ行ったら、その犬の分もお参りして来ようと思います。

705: 本当にあった怖い名無し 2014/11/08(土) 21:17:11.74 ID:dhYcEAgr0
>>702-703
乙っす。

709: 本当にあった怖い名無し 2014/11/09(日) 00:45:13.32 ID:WFmGSMYP0
もしその犬にあったとしたら、なにをしてやれるだろう?
古銭を受け取って伊勢神宮に収めてやれば満足するだろうか。

710: 本当にあった怖い名無し 2014/11/09(日) 01:01:02.63 ID:tTY7GqkZ0
どうだろうね
犬が満足するのは主人に褒められる事、褒美をもらう事
つい人間の感情に当てはめてしまうけど、犬の気持ちはわからんね

768: 本当にあった怖い名無し 2014/11/11(火) 05:38:44.00 ID:Pe03hV9/O
>>709
お札と奉納受領書を首の風呂敷に入れてやったら満足するんじゃないか?わんこ的にそれが無いと主人の元へ帰れないんだろうな
主人もわんこも当にこの世の者では無いだろうが、
主人は生まれ変わって新しい人生を歩んでるかもしれないのに、
わんこの魂だけが一生懸命にこの世に留まって必死に伊勢神宮を目指してるのかと思うと切ない

他のサイトのお勧め記事(アンテナに飛びます)
1: なごみたい名無しさん 2016/09/02 23:06
わんこが伊勢にたどり着いてご主人の待つふるさとに戻れますように。
今でもご主人を信じきった目をして一生懸命荷物を背負って歩いているのかと思うと泣ける。

2: なごみたい名無しさん 2016/09/03 03:17
誰か、お伊勢参りしたらこの犬が飼い主のもとに帰れるようお願いしてやってよ・・・せつないよ。

3: なごみたい名無しさん 2016/11/07 21:25
遠藤淑子の漫画「ハチ参る」がお伊勢参りの犬の話だね
参宮犬って呼ばれて、江戸時代には度々見られたんだとか
路銀(旅費)を持ち、旅人や街道の人々に手厚い保護を受けたんだって
たどり着けるといいねぇ